horn
随分とむかし、場所も忘れてしまったけどカプーアの展示を見にいった。
作品もぼんやりとしか思い出せないけど、曲線の迫力に心奪われたことだけは未だに覚えている。
グラスやトランペット、建築物などの曲線に心惹かれる。滑らかな曲線になることで、迷いのない自信に満ちた潔さがある。
紙に1本の曲線を描いてもなかなか納得いかない。
野暮ったさや感情が線に顕れ、くたびれて結局、次の日一発でいいラインが引けたりする。
いい曲線を作りたいという気持ちでできた'horn/ホーン'。
シンプルで潔い曲線。
身につけた時、魅力的なカーブを描けるよう、
無駄のない形で、退屈にならないよう心がけながら。
そうして作り出した形を磨くと、映り込みにも愛嬌のある曲線が現れる。
撮影時に真っ赤なニットを着た私が指輪に映り込んでいたことがある。
画処理の手間を増やし怒られたことは言うまでもないが、能天気な姿が愛嬌があって面白いと密かに思っていた。
タイピングしている時、ふと映り込みに目がいく。
なんとなく、くすりとしてしまう。
日常の一笑のきっかけになれたら。
hornはもともとダイヤは、ローズカットを使用していた。
ラウンド、ペアシェイプ、今はヘキサゴンカットなど様々なシェイプにカットされている。
ブリリアントカットの強い輝きに比べたら、品のある渋い光り。
ブリリアントがスパークリングワインなら、ローズカットは純米の日本酒のような。
あくまでイメージですが。
サイドから見ると、こんもりドームのような形。
ファセットが少ないので、ドームがおおらかで緩やかな立体感となる。
イエローやブラウンなどのカラーは、染み渡るようなじんわりとした色の顕れ方をする。
潔い曲線を描いたフォルムとやわらかなローズカットがいい相性。
カチリとクリックした時、少し気を緩ませる、そんな時間も大切にしたい。