tinge
きりりとそびえる山頂、
艶やかな四つのカット面はまろみのある色味を映し出す。
優しく、より鮮やかに。
tinge -ティンジ:淡い/色合い
主にシュガーローフ カットを使用しているコレクション、
角砂糖はもともと今の直方体ではなくて、ピラミッド型だったらしい。そこから名を取った宝石のカット。
カボションより高く峰を削り出す。それゆえ、インクルージョンやクラックのないルースが求められる。
質の良い石から切り出されたルースは、名の通りひとかたまりの砂糖がゆっくりと溶けていくような柔らかな色味を作り出す。
5つの湾曲した面の連なりが異なるリング、目線に掲げると、影が切り替わる。
職人が細やかにいれるテクスチャーがこの陰影を生み出している。
指輪をつけた自分の手を見る、季節によってむくんだり、乾燥したり、自分自身で変化に気づく、自分で一番目にする素肌。
最初につけた日より今が愛おしい。つけた自分の手が好きになる。そんな指輪を作りたい。
デザインを考える時は手を動かす。
デジタルではわからない質感がピン、と尖らせた鉛筆ならつかみ取れる気がしていて。
そうやって、時間をかけて出来上がるひとつひとつのアイテムたち。
大きな石で7mm×7mm、人差し指に置けば印象的に、
ピアスはすっきりと付けたくて小さめに。
指の先ほどの小さいサイズ、出来上がる陰影を何度もシュミレートする。
重みのある地金と、軽やかな色彩のルース、その組み合わせが心地よくありつつ、気高くもあるように何度も試して出来上がった形たち。
想像するシーンはいつもの肌心地のいいコットンのクルーネックシャツ、毎日着たいふくよかなセーター。
心落ち着くときも、すこし緊張するような特別なシーンにも寄り添いたい。
指先を豊かなカラーがほんのり染める、着けると少し頰が赤らむ。そんなあたたかみのあるコレクション。