2021.11.18

色なき風

Collection Journey at NAGANO

 

千曲川から望む八ヶ岳。

雪が山脈を覆い始める10月の終わり、長野県佐久郡佐久穂町を訪れた。

 

最低気温6度、東京から新幹線で1時間半で降り立ったその場所は、ひと足もふた足も早い冬を感じさせる。

 

長く続いた洋品店の面影を残しつつ、ジュエリー工房GURURITOは今年6月にオープンしたばかりだそう。

手作り感溢れる店内に置かれているGURURITOのシンボルでもある大きな囲炉裏を中心に、filumのアイテムを並べる。

時おり、二階に住むこの工房の店主でもある職人が作業をはじめる。

金属を削る、叩く。慣れ親しんだ音を聞きながら訪れる方々とお話しをする時間。

 

ゆっくりと、時間の流れを肌で感じる。

季節との距離がいつもよりずっと近い。

日中は眩しいほどの日差しが届き、夕方は16時には周囲も暗くなり、下校の小学生たちを窓から眺める。

 

千曲川を渡る橋を越えるたび、景色を目に焼き付けた。

 

Collection Journeyはまだfilumを知らない人に会うため、街をめぐる旅。

4日間という短いあいだ、

一人ひとりがしっかりと"話"をしてくれる。それが嬉しい。

 

見て、聞いて、触る。

実態より先にその人たちの記憶に住み着くきますように、

覚えていてね、とアイテムの声を代弁するよう声をかける。

 

冷えた空気、ストーブのにおい、夕暮れから夜に変わる時間。

この優しい町にまた来られますように。