verse
扉の取手、テーブルの脚、電気のスイッチ。
何かの一部が気になる。
機能性もあり、見た目も重要なそれには、つづきがある。
それは文章のように、会話のように
つづきに耳を傾けたくなる。
くしゃくしゃにした紙屑、拾ってきた枝、家に増えていく石ころ。
機能性はなく、見た目も気にしないそれにも、つづきがある。
ものとそのつづきを見ていたくなる。
詩の一遍という意味の'verse/バース'。
つづく形を意識して形成したフォルム。
ジュエリー は小さい。
だから、細部の印象が大部分のイメージを左右する。
細かいところの微調整を繰り返して、形になっていく。
小さな世界で、大きく表現する。
美しい弧を描く1本のライン、キャッツアイ。
針状のインクルージョンを持つ石をカボションにカットすることでドラマチックに姿を表す。
こちらのムーンストーンキャッツアイは、「我、キャッツアイなり」というより、一歩後ろを行く。
繊細なグラデーションで品よくラインが顕れる。
「自分不器用ですから」と言わんばかりのかっこよさを感じる。
「ついていきます」
と訳のわからないことを考えながら、どんなフォルムにしようと張り切ってペンを走らせる。